編集長ランチ 〜職は食に現れる。〜
レタスクラブ編集長 土屋美和子氏 第1話
試作を重ねた熟成レシピの「おうち版ハンバーガー」



土屋美和子 編集長
女性誌、児童書等の出版社を経て2003年SSコミュニケーションズ(現・角川SSコミュニケーションズ)入社。『レタスクラブ』編集部、同副編集長を経て、2006年2月編集長に就任。

今回は、『レタスクラブ』編集長、土屋美和子さんのランチタイムにお邪魔しました。
場所は、最近リニューアルしたという『レタスクラブ』編集部キッチン。
試作に試作を重ねています
普段のランチはどのようにされているんですか?
本当はいろいろなところに行ったりして情報を集めたいなと思っているのですが、私の場合、隔週発行の雑誌を担当しているので、なかなかお昼のランチをゆっくり外でとる時間がないのが実情です。また、毎号かなりの数のレシピを掲載していて、その試作を繰り返していくということもあり、必ず私も試作品を食べるようにしているんです。撮影して編集部に持って帰ってきたものを、「今回はこういう味なんだ」とまず把握するということもあり、社内で試作品を食べたりすることが多いですね。ということで、本当はどこかへお連れして、「こんなところで食べてます」とお見せできれば良かったんですけど(笑)
編集長らしいものが紹介できればと思っています。
わかりました。じゃこれが日常ということで(笑)。
それでは、今日のランチは?

10月前半発売号で特集する予定の手作りハンバーガーの試作品です。特集の中でも紹介しているのですが、ハンバーガー専門店に教わる!ということで、東京の本郷にある「ファイヤーハウス」という、大きくておいしいハンバーガーで評判のお店に教えてもらったレシピで作りました。アメリカ人も納得の大きさです(笑)。最近話題の大きいハンバーガーを上手に作るコツを教わってきたので、実際にうまくできるかやってみたというところですね。
ハンバーガーは、今年はメガマックが大ヒットしたり、西麻布でハンバーガーの名店が復活したりと、ちょっとしたブームになっているので取り上げました。編集部スタッフがいろんなところを食べ歩いて情報を持ち帰って、おうちでもおいしい本格的なハンバーガーを作って食べられるような企画になっています。それから、ちょうど秋の行楽シーズンなので、運動会や家族でのお出かけなどにも持って行けるメニューということもありますね。
まず、レタスクラブの場合、日々のおかずに使えるメニュー・レシピの紹介というのが大きなコンテンツなんです。それと、食まわり・生活まわり全般をご紹介してるんですが、外で流行ってることをどんな風に家庭に取り入れて楽しめるかを、毎号ビビッドに反映させたいと思って作っています。お店でしか食べられないような、ちょっと本格的なものでも、本誌でご紹介しながら楽しみながら作っていただけるとうれしいですね。
誰でも失敗なく作れるレシピを
バーガーの中にあるハンバーグの大きさが普通のハンバーグと違うんですね。
本誌の方で普段紹介するハンバーグは、合挽き肉を使うことが多いですが、これはお店の味ということで牛100%になっています。ですので、若干まとまりが悪いところをどういう風におうちで作るかというところをいろいろ教わってきたんですよ。
やっぱり一番大事なことは、雑誌を読んだ人なら誰でも失敗なくできるように、ということなんです。ですから、お店で聞いて教えていただいたレシピもそのまま出すということではなくて、実際にこういうキッチンで試作をしています。お店の方は毎日作っていらっしゃる方ですし、お料理の先生も毎日レシピを作ってる方なので、そういう方がきれいに出来るのは当然なんですよね。それを家庭の主婦がやって無理なくできるかということを検証しています。
試作品を作っているのは編集部の料理担当スタッフとアルバイトです。うちの読者の方は若い主婦の方を中心に料理の入り口、生活の入り口に立っている方が多いので、アルバイトもあまり料理に慣れてない人にやってもらうようにしています。
土屋さんも編集長になられる前は自分で作られていたんですか?
そうですね。私もこのキッチンで多い時だと20品ぐらい作ったことがありました。20品も作るとなると一日中立ち仕事なので、結構ハードでしたよ(笑)。
眺めて楽しく、作っておいしく
編集者というのは、取材で外に出たりでフットワーク軽くというイメージがありますが、
思いっきり立ち仕事ですね(笑)

料理編集って他のジャンルのものと若干異なる部分があるんです。この一冊の中でも料理以外の部分を担当している編集スタッフだと、わりと外に出て仕事をすることやデスクワークが多かったりします。料理編集の場合はやはり中心がレシピということになりますので、そのレシピをいかに精度の高いものにして、広く多くの読者に伝えるかということが重要になってきます。ここまで試作をしっかりやってる雑誌は他にはちょっとないんじゃないかと自負しています。
読者の方から細かい質問をいただくこともあります。「今作ってるんですけど…」というようなお電話があったりして・・・(笑)。こちらからは考えつかないような質問もありますね。たとえば、赤ピーマンを使うレシピがあって、「このピーマンを緑のものに変えても大丈夫ですか?」というご質問があったり。そういうことにもひとつひとつ、先生にも聞いてみたり、編集部でお答えできることはお答えしたりしています。「失敗して…」という電話がかかってくることがありますので、「こうしてみたら?」とアドバイスすることもあります。
そういう具体的に読者の方がひっかかったところは、次の記事を編集する上で参考にしています。
読者の方もそれだけ真剣に読んでこれを作りたいと思ってらっしゃるんですね。
眺めて楽しいということは雑誌では大切なことなんですけども、実用としてキッチリ使えるものをということもすごく大事にしている雑誌なので、そのあたりは書いて終わりということには、なかなかならないですね。多い時には3回ぐらいは試作します。撮影で一回、試作で一回、その後でなにか修正点が出るともう一回、と試作を繰り返すんです。
プライベートでもお料理はされるんですか?
最近では、本誌のレシピ以外では作ってないですね。自分で覚えて作ってきたものでも、もっとおしいい作り方だったり、もっと簡単な作り方だったり、いろんなアイディアをどんどん新しくいただくので、それを更新していくということは結構ありますね。読んでいると「こんな方法があるのか!」というようなことがまだまだ出てきてますから、料理の世界は奥が深いな、と痛感しています。